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立体デザインの独特風合い 高級ブランドのTシャツに

細い繊維を植え付けて立体的なデザインに仕上げたトレーナーを持つ吉田さん。自社ブランドを立ち上げ、販路を切り開いた(京都市西京区・ティーヘッド)
細い繊維を植え付けて立体的なデザインに仕上げたトレーナーを持つ吉田さん。自社ブランドを立ち上げ、販路を切り開いた(京都市西京区・ティーヘッド)

 京都市西京区の住宅街の一角に、著名なブランドも一目置く小さなアパレル会社がある。専門は、細い繊維を生地に植え付けて立体的にデザインする「直(じか)植毛フロッキー」という加工法。独特の風合いと臨場感のある意匠は一部で熱烈な人気を博すが、社業が定まるまでには紆余(うよ)曲折があった。

 経営するのは吉田貴志さん(42)。家族を含め総勢5人の小企業だ。かつて勤めていた中小企業の営業先でこの技法を持つ年配男性と出会い、弟子入りした。1年かけて加工のノウハウを習得。2005年に「ティーヘッド」を創業した。

 だが知名度は低く、営業は苦戦した。受注に結びつかず、プリントTシャツの下請けで仕事をつなぐ日々。焦りから方向転換を考え、技術を応用してビール製造時に出る麦芽の廃棄物を貼り付けたバッグを開発した。手応えを感じ、売り込もうとした矢先だった。

 「良い品だけどこれは忘れよう。せっかくの技術をなぜ伸ばさないの?」

 バッグを持ち込んだ市産業技術研究所(下京区)で受けた言葉に目が覚めた。「他社が使いこなせないなら自分が作ればいい」。原点回帰を決め、自らアパレルブランドを立ち上げた。

 京都高島屋(同区)での販売を足掛かりに、出張販売は全国の百貨店に広がった。高級服ブランド「ヨウジヤマモト」もTシャツのデザインに採用。米コレクションで披露すると、1万着の注文が舞い込んだ。

 「市場や消費者が見えず独りよがりになった。でも、その時の挑戦は今に生きている」と吉田さん。来年には西京区で自社ブランド1号店を出店する。磨いた技術とデザインで、衣服に新たな価値を吹き込む。

【 2018年11月24日 23時19分 】

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  • 細い繊維を植え付けて立体的なデザインに仕上げたトレーナーを持つ吉田さん。自社ブランドを立ち上げ、販路を切り開いた(京都市西京区・ティーヘッド)
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