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ねじ企業の自信作は「電球スピーカー」 消費者向け商品で活路

日東精工が販売するLED電球スピーカー「ミューライト」
日東精工が販売するLED電球スピーカー「ミューライト」

 企業向けビジネスを専門とする京都の中堅・中小メーカーが、相次いで消費者向けの商品を開発している。一般消費者が使う商品は販売ルートや品質基準などが工業製品と異なるが、知名度アップや事業の多角化、脱下請けなどを狙い、新たな領域に挑んでいる。

 工業用ねじを主力とする日東精工は、2016年にLED電球スピーカー「ミューライト」を発売した。照明と音響の二役を備え、スマートフォンなどに取り込んだ音楽が近距離無線通信を介して天井やランプのスピーカーから出力される。上質な音とデザインにこだわった「自信作」だ。

 同社はゲーム機や自動車、カメラに使われるねじとねじ締めロボットの専業メーカー。自社ブランドの家電・音響製品を作ろうとプロジェクトチームを立ち上げ、1年がかりで開発した。

 当初は住宅メーカーやリフォーム業者向けに供給していたが、昨春から小売店での販売やインターネット通販を開始。1個1万2千円程度と競合品より安価で、贈答用に好評という。同社は「従来は一般の人が手に取る商品がなかった。今年からは医療分野などで消費者向けビジネスに積極参入したい」と期待する。

 高い吸水力を持つ紙おむつ向け原料の樹脂など幅広い機能性化学品を製造する三洋化成工業が昨春始動したのが、化粧品開発プロジェクトだ。女性主体の社長直轄チームを立ち上げ、今後1、2年以内の商品化を目指す。

 化粧品市場は競争が激しく、品質要求も高い。三洋化成は社外の技術や素材も取り込みながら高級化粧品を作り、国内での競合を避けて中国市場に投入する方針。安藤孝夫社長は「本格的な化粧品も開発できるとPRするのが狙いで、収益は追わない」と強調し、知名度や企業ブランドの向上をもくろむ。

 工業系メーカーによる消費者向けビジネスの参入は、中小企業にも広がる。精密機械加工のシオガイ精機(京都府久御山町)は、悪臭を取り除く家庭や店舗向けの小型脱臭機を独自開発し、16年から販売している。1967年の創業以来、大手企業から部品加工などを請け負ってきたが、受注頼みの構造から抜け出すため、自社製品の開発に踏み出した。

 脱臭機は、有機溶剤などのにおい成分を特殊なフィルターで吸着し、空気を浄化する仕組み。工場で使う大規模な脱臭装置のフィルターを採用し、幅13・5センチ、高さ9・5センチの箱形に小型化した。

 爪に塗る溶剤のにおいに悩まされるネイリストらが購入し、大型機はネギのにおいが充満する農協の加工施設などに納入した。脱臭機の専業子会社シューマン(京都市下京区)も立ち上げ、19年は前年比6倍の3千個の販売を目標に掲げる。

 シオガイ精機の岩井真知子専務は「長年培ったものづくりの技術で自社のブランド商品を作ることができた」と話し、新たな社業の柱に育てる考えだ。

【 2019年04月09日 12時14分 】

ニュース写真

  • 日東精工が販売するLED電球スピーカー「ミューライト」
  • シオガイ精機の子会社が開発販売する家庭用の小型脱臭機(京都市下京区・シューマン)
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