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社説:国産液晶消滅へ 「日の丸連合」の検証を

 中小型液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)が中国と台湾の企業連合の傘下に入る。これにより、日本の液晶産業は事実上消滅し、アジア勢の軍門に下ることになる。

 日立製作所、東芝、ソニーの事業を統合した「日の丸液晶連合」だ。国主導による産業再建の限界を露呈するとともに、国内電機メーカーの衰退を改めて印象づけた。

 2012年に発足したJDIは規模拡大によって一時は中小型液晶の出荷額で世界首位となった。

 ところが、海外勢との価格競争激化や有機ELの開発の遅れで業績が悪化。19年3月期は5年連続の赤字となる見込みだ。

 この間、経済産業省の意を受けた官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)が出資や融資などで計約4千億円を支援してきた。

 このまま支援を続ければ本来淘汰(とうた)されるべき「ゾンビ企業」を救済したと批判を浴びかねない。また税金が既に投じられている以上、破綻させれば雇用問題や国民負担の議論は避けて通れない。

 海外への技術流出の懸念があるとしても、外資による再生に委ねるほかはなかったと言える。

 JDIは3社の寄り合い所帯で政府の関与もあり、意思決定が遅いなど経営体質が問題視されていた。経営責任は当然問われよう。

 看過できないのは、国策支援の頓挫が続いていることだ。日の丸連合を主導してきた経産省の責任は重いと言わざるをえない。

 公的資金を投入した半導体大手のエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)は12年に破綻し、外資傘下となった。エルピーダも三菱電機、NEC、日立の事業の混成だった。

 同じ3社の半導体部門を統合したルネサスエレクトロニクスも13年に同機構が出資し再建に乗りだすが、人員削減や国内工場閉鎖を余儀なくされるなど苦戦が続く。

 かつて日本企業がけん引したテレビやパソコンは韓国、中国メーカーなどが上位を占める。液晶分野で日の丸連合入りしなかったシャープは16年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社となった。

 国内電機産業の復権は喫緊の課題だが、役人が机上の論理だけで企業再建を考え、進めようとすることについては市場関係者から異論も聞かれる。霞が関が主導する産業政策を抜本的に見直す必要があるでのはないか。

 政府はなぜ失敗したのか、国策による再編の成果を検証すべきだ。

【 2019年04月16日 13時32分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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