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京セラ稲盛氏「若者よ、信じた道ひたむきに」 単独インタビュー

時代が変わろうとも、ひたむきに努力し続けることの大切さを説く稲盛氏(京都市下京区・稲盛財団)
時代が変わろうとも、ひたむきに努力し続けることの大切さを説く稲盛氏(京都市下京区・稲盛財団)

 「昭和」に目覚ましい戦後復興と発展を遂げ、「平成」のバブル崩壊から長期の経済低迷に苦しんだ日本。世界ではIT(情報技術)やロボット、バイオ技術の飛躍的な進歩で、従来の暮らしや働き方は大きく変わろうとしている。京都で創業し、類いまれなリーダーシップと強い意志で大企業に成長させた京セラ名誉会長で稲盛財団理事長の稲盛和夫氏(87)は、時代の転換と人材の育成をどう見据えるのか。京都ゆかりの希代の経営者に、新たな時代への期待と、若き経営者へのメッセージを聞いた。

 ―科学や文明の発展、精神の深化に対する貢献をたたえる「京都賞」が令和元年の今年、35回目を迎えます。これまでに多くの受賞者が後にノーベル賞に輝きました。

 「私は京都に来て徒手空拳で稲盛財団をつくった。京都で多くの方と出会い、支援を受け、財団が生まれた。今日まで京都の名に恥じないような素晴らしい受賞者を輩出できたことは望外の喜びだ。財団運営も健全で、基金は約1千億円ある。京都賞が末永く続き、京都を世界の人々に知ってもらうために貢献できる。その点では、京都のため、市民のためにも良いことだったと思っている」

 ―5月に改元し、31年続いた平成が終わりました。平成の日本は災害が多発し、人口が縮小し、企業は激しいグローバル競争にさらされました。

 「日本という国や京都には素晴らしい人材が多くいると思っている。現在、日本の企業の力はやや低下しているように見えるが、日本人の勤勉さや優秀な頭脳を考えると、時代が変わろうとも、日本は世界の中で際立って輝く国であり続けると信じている」

 ―創業した京セラは平成で大きく飛躍し、また日本航空の再建も果たしました。最も印象に残っていることは何でしょうか。

 「2000(平成12)年に発足したKDDIの前身となる第二電電をつくったことだ。当時はNTTが通信事業を独占していた。世論や政府が通信自由化に傾く中、『動機は善か、私心はないか』と毎晩自問して新規参入を決めた。もともと国営で強大な力を持つNTTの独占体制では国民のためにならず、対抗できる新しい会社が必要だと強く思ったからだ。今では立派な企業に成長し、大変良かったと思っている」

 ―新たな時代に何を望むでしょうか。

 「私の歩みを振り返ると、どんな環境にあっても前を向いて努力してきたことが、人生を切り開いてきたように思う。目の前のことに一生懸命に立ち向かい、努力することを忘れなければ、決して国が衰退することはないだろう」

 ―これからの時代をつくっていく若者たちにはどうあってほしいでしょうか。

 「たとえどんな逆境にあろうとも、自分が今やっていることを必死に取り組むことが最も大事だ。環境のせいにしてはいけない。前を向き、目標を立て、努力を続ければ必ず幕が開き、達成できるだろう。私も若い時は全く希望の持てない状況だった。京都で就職した会社は今にもつぶれそうだったが、ひたむきに努力してきたことで今日がある。自分の信じた道に必死に努力を払うような若者であってほしい」

 ―今の若い起業家をどう見ていますか。

 「若い人はいろんな望みや理想を持っていると思う。置かれた環境から無理だと諦めてしまうのではなく、こんなことがやりたい、こんな方向に進みたいと思うなら、ひたむきに努力していくことが絶対的に必要だ。できれば稲盛財団も京都賞のように大成した人を顕彰するだけでなく、ベンチャーの起業家の支援にも新たに取り組みたいと考えている」

【 2019年05月21日 10時00分 】

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  • 時代が変わろうとも、ひたむきに努力し続けることの大切さを説く稲盛氏(京都市下京区・稲盛財団)
岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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