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社説:GDP0・5%増 内需の不安を露呈した

 今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が実質0・5%増になった。年率に換算すると2・1%増で、2四半期連続のプラス成長になる。

 最近の主な経済指標が国内景気の後退可能性を示唆する中でのプラス成長だが、個人消費や設備投資が減少し、内需が弱い実態が浮き彫りになった。

 GDPプラスの要因の一つは、輸入が輸出に比べ大きく減ったことだ。輸出は2・4%減だったが輸入は4・6%減となった。

 GDPは国内で生み出された付加価値を集計するため、輸入減は計算上、プラスに作用する。国内消費が鈍り、海外からモノやサービスを購入する量も減った、というのが実情だ。

 今回、GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0・1%減だった。自動車や冬物衣料の販売が振るわなかった。

 食料品などの実質的な値上がりも相次いでいる。人々がより価格の安いものを選んだり、買い控える傾向が強まっているのではないか。

 住宅投資は伸びたが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要とみられる。公共投資も1・5%増えたが、補正予算で災害対策が強化されたためだ。いずれも個人消費に支えられた内需増とは言い難い。

 見過ごせないのは、企業の設備投資が0・3%減と2四半期ぶりのマイナスに転じたことだ。

 背景にあるのは、中国経済の減速だ。米中貿易摩擦が激化し、6月からは米国がほぼ全ての中国産品の関税を引き上げる。対立の長期化は避けられそうにない。

 経営者が投資を手控える傾向は今後、さらに強まる可能性がある。京都には設備投資関連の企業も多い。地域経済への影響も注視する必要がある。

 先に公表された3月の景気動向指数では、基調判断が6年2カ月ぶりに「悪化」となった。今回の実質GDPもこの動向に符合している。

 茂木敏充経済財政担当相は「内需の増加傾向は崩れていない」と述べた。人手不足による求人増や時給上昇、好調な企業業績が主な理由だ。伸び悩む所得や社会保障などの将来に不安を募らせている国民の実感とかけ離れている。

 政府は景気に関する公式見解となる月例経済報告を24日に公表する。今回のGDP値動向を踏まえても、従来どおり「緩やかに回復」という判断を維持するかどうか、注目したい。

【 2019年05月22日 12時17分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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