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保護者の電話、夜は控えて 学校働き方改革「実現遠い」声も

みんなが帰宅して空になった職員室で、最後にタイムカードを押す教員。外はまだ明るく、時計(右上)はちょうど午後5時半を指している=向日市・向陽小
みんなが帰宅して空になった職員室で、最後にタイムカードを押す教員。外はまだ明るく、時計(右上)はちょうど午後5時半を指している=向日市・向陽小

 学校現場での長時間労働が課題となる中、独自の働き方改革に取り組む学校が出てきている。一定の時間に退勤する日を設けたり、保護者らに夜間の電話を控えるように依頼したりして負担軽減につなげている。ただ教育委員会や現場からは「通常の業務量が膨大なため、現場の力だけでは解消にはほど遠い」との声も漏れる。

 「後輩とご飯を食べに行きます」「帰って走ります」。3月上旬。日がまだ昇る午後5時すぎから、次々と教員が職員室を出て行った。校長と教頭を除く最後の一人が帰宅したのはちょうど5時半だった。

 向日市の向陽小では昨年6月から、月曜日は午後5時半に必ず退勤する「ハッピーマンデー」を設定した。緊急時の対応として校長と教頭は6時まで待機し、帰宅する。以降の電話は市教委が受け、必要に応じて学校側に連絡する。

 「最初は迷惑そうな顔をされたり、もっと仕事がしたいと言われたりした」と山本岳校長は苦笑する。「先生たちは見通しを持って仕事をするようになり、定着した」と話す。

 教員の働き方が問われている。京都府教委が昨年10月に実施した京都市を除く公立学校の勤務実態調査では、「過労死ライン」とされる月80時間超に相当する残業をする教諭の割合が小学校で52・4%(全国平均33・5%)、中学校で72%(同57・6%)だった。小中ともに授業準備に割いている時間が高かった。

 同小では会議の効率化や休日行事の見直しも同時に進める。だが昨年9月から独自に導入したタイムカードで府教委の調査と同じ10月分をまとめたところ、府内平均よりは低いものの4割超が80時間を超えた。

 山本校長は「趣味や自己研鑽(けんさん)の時間を持ち、人間性を広げることで豊かな教育につながる。業務量の問題はあるが、しっかりと進めたい」と力を込める。

 保護者や地域の協力を得て、業務改善を図る学校もある。同市の第4向陽小では、昨年8月末から午後7時以降の緊急時を除く電話を控えるよう保護者らに呼び掛けた。遅い時間の電話対応が、教員の負担になっていたからだ。学校だよりで理解を求めたところ、それまでは午後8時すぎまで鳴っていた電話はぴたりと止まった。鐘ケ江達郎校長は「作業効率が良くなった」と負担減を実感している。

 府教委は少人数教育を実施し、国の基準より多い教員を配置してきた。それでも、ただでさえ膨大な業務量に加え生徒児童への丁寧な個別指導が求められるようになっている。教科化される小学校の英語などの準備で、さらなる負担増大が予想される。

 府教委は新年度から始める3年間の実行計画を策定し、教員以外の専門スタッフの配置充実や学校運営の見直し、意識改革などを盛り込んだ。時間外勤務の20%縮減など数値目標を設定している。

 実行計画は保護者や地域との協力も方針として定めており、学校側の努力だけにとどまらない取り組みが欠かせない。いかに計画に実効性を持たせられるかを含め、抜本的な働き方改革が迫られている。

【 2018年03月25日 11時40分 】

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