出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

目利きで研究支援、希少古書店 京都に開業、洋書直輸入

洋古書店を一人で営み、「洋古書を使った研究文化を支えたい」と話す羽田さん(京都市左京区・青羽古書店)
洋古書店を一人で営み、「洋古書を使った研究文化を支えたい」と話す羽田さん(京都市左京区・青羽古書店)

 歴史学や哲学などの研究者向けに、海外の古書市場に眠る希少本を見つけ出して販売するユニークな古書店が、京都市左京区に開業した。大学の街の利点を生かして研究者のニーズを把握。海外市場から直接仕入れて、価格を抑えて専門性の高い古書を提供できるという。経営する羽田孝之さん(37)は「新たな研究成果を出すお手伝いができれば」と話す。

 開業したのは「青羽古書店」。羽田さんは大学を卒業して約10年、学術洋書専門店で働いた。古書担当として英国やフランス、米国などの国際古書展に参加し、約100の専門古書店と取引関係を結んだ。より古書の仕事を究めたいと昨年11月、店を開いた。

 16~20世紀前半に欧州の各国語で書かれた古書を取り扱う。例えば、17世紀にイタリアで発行された書物には、日本の文献にはない安土城を描いた木版画が掲載されている。またマキャベリの「君主論」の英訳では、17世紀の出版当初は文庫本サイズで訳者も匿名だったが、18世紀には肖像画入りの図鑑のような大きさに変遷した。「当初は反キリスト教的としてひっそりと読まれた『君主論』が、古典としての地位を確立する過程が分かる」と羽田さん。使われる紙の質も違うといい、本そのものから得られる情報は多い。

 羽田さんによると、日本の古書店は、海外古書店が作成した解説目録を基に仕入れるケースが多く、高額になりやすい。一方で、近年はインターネットを通じて研究者が直接海外の書店から購入できるようになり、日本で洋古書店を営む環境は厳しさを増しているという。

 だが羽田さんは「誰もが海外市場にアクセスしやすい環境は、専門知識を生かせばチャンスになる」とみる。経験を生かして、まだ価値の定まっていない古書を独自に発掘し、研究に有用なユニークな書籍を届けられるからだ。「新たなビジネスモデルを作り上げ、洋古書を使った研究文化を少しでも盛り上げたい」と望んでいる。

【 2018年04月08日 19時30分 】

ニュース写真

  • 洋古書店を一人で営み、「洋古書を使った研究文化を支えたい」と話す羽田さん(京都市左京区・青羽古書店)
京都新聞デジタル版のご案内

    教育・大学のニュース