出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

「学校休んでも良い」理念どう具体化 フリースクール連携に課題

畑に大根の種をまく子どもやスタッフたち。絶妙な掛け合いで、和やかな雰囲気に包まれた(木津川市加茂町・「夢街道 国際交流子ども館」)
畑に大根の種をまく子どもやスタッフたち。絶妙な掛け合いで、和やかな雰囲気に包まれた(木津川市加茂町・「夢街道 国際交流子ども館」)

 学校以外の学びの場について重要性を認め、不登校の子どもたちへの公的支援を初めて明記した教育機会確保法の施行から1年半が過ぎた。法に込められた「学校を休んでも良い」とのメッセージは、京都府山城地域の子どもや保護者にも安心感をもたらしている。一方で、自治体とフリースクールとの連携や経済支援など理念の具体化には課題がある。

 台風24号の接近を前に青空が広がった9月下旬。京都府教育委員会の認定フリースクールのうち、唯一、山城地域にある「夢街道 国際交流子ども館」(木津川市加茂町)の畑で野菜の種まきが行われた。「こんなに虫に刺された」。子どもが足を見せると、スタッフが「ええやん、虫にも好かれて」。絶妙な掛け合いで和やかな雰囲気に包まれた。

 子ども館は2002年に開館した。山城地域の市町村や奈良市などから居場所を求めて不登校の児童生徒が毎年10人前後通う。

 府内の不登校の児童生徒数は16年度に2955人に上り、全国同様、増加傾向にある。これまで学校への復帰が「正解」とされてきたが、確保法が転換点になった。

 同館の広報誌には「学校に行かないのは悪いこと、と固定観念を持っていた」「休んでもいい、と堂々と言ってあげられる状況は、本当にありがたい」と確保法を歓迎する保護者やOGの声が寄せられた。

 「学校にとっても『休んでも良い』と言うのは教育の放棄と思われかねなかった。その状況に法律が風穴を空けた」。元中学校長の比嘉昇・同館理事長(78)も評価する。

 しかし、課題は残されたままだ。フリースクールのような受け皿となる施設は、利用者の変動が大きく、学費収入だけでは運営が不安定だ。認定NPO法人の子ども館も、会員らの寄付に頼っている。学費を払えない貧困家庭の子どもはフリースクールなどに通えないという問題もある。

 確保法は、教育機会確保のために国や自治体が経済的措置を行うよう努めるとしている。府は昨年度から府内の認定フリースクール6施設にそれぞれ年間50万円を助成している。ただ、認定外の施設への支援はなく、貧困家庭がフリースクールなどを利用するための助成もない。

 山城地域では確保法施行前後から、宇治市、城陽市、木津川市が文科省の委託事業で予算を確保し、元教員による心のケアや別室学習のサポート、公設の適応指導教室の拡充に力を入れる。しかし、大半の自治体は従来の取り組みを継続するにとどまる。フリースクールなどとの連携を今後の課題に挙げる自治体はあるが、「現状で手いっぱい」との声も聞かれた。

 子ども館は本年度から、広報誌で確保法の連載を始め、木津川市や奈良市の小中学校へ配布を始めた。「まだ確保法を知らない人もいるので、こちらからも働き掛けたい。フリースクールとつながりたくてもつながれない子や、来たくても来られない子にとって良い動きが出てきてほしい」と同館スタッフの以呂免(いろめ)幸子さん(45)は期待する。

 確保法は3年以内に検討、見直しをすると定めている。子どもにとってより良い施策につなげるため、関心が広がり、議論が高まることが必要だ。

【 2018年10月07日 11時16分 】

ニュース写真

  • 畑に大根の種をまく子どもやスタッフたち。絶妙な掛け合いで、和やかな雰囲気に包まれた(木津川市加茂町・「夢街道 国際交流子ども館」)
岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

    教育・大学のニュース