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増える通信制高校、不登校生徒らの受け皿に 競争激化の予想も

成基が10月に開設した通信制高校提携校。生徒の学習を教員がサポートする(京都市伏見区)
成基が10月に開設した通信制高校提携校。生徒の学習を教員がサポートする(京都市伏見区)

 通信制高校の新設が相次いでいる。他府県で認可を受けた高校が今秋に京都府や滋賀県で提携施設を開いたほか、府の認可を受けて来春に開校を予定する高校もある。背景の一つには不登校の生徒が増えていることがあり、各校は進学に向けた学習や専門技術の習得、芸術などさまざまな特色を打ち出し、多様な進路希望を持つ生徒の受け皿となろうとしている。

 近畿で学習塾を展開する成基(京都市中京区)は10月、伏見区に通信制高校提携校「ゴールフリー高等学院京都キャンパス」を開設した。自社の塾が入る施設の3階フロアに校舎となる教室を設けた。

 同校は山口県から通信制高の認可を受けた松陰高(岩国市)の提携校。京都の教室で一定数の授業を受ければ、同高の卒業資格を取得できる。2012年3月に滋賀県草津市で同様の提携校を開設し、京都市内でも需要があるとみて新設した。塾のノウハウを生かして進学に向けた授業を充実させており、担当者は「不登校になっても、勉強はしたいという生徒は多い。進学に強い通信制高が少ないため開設した」と明かす。

 学校法人つくば開成学園(茨城県牛久市)は、15年に府認可の「京都つくば開成高」を京都市下京区に開設したほか、今年10月には沖縄県で認可を受けた「つくば開成国際高」の滋賀校を滋賀県守山市に開設した。

 京滋の両校とも理容や調理など専門技術を学べるコースがあるのが特徴で、担当者は「入学者は不登校だった生徒が多く、担任を選べるなど学校に行きやすい環境づくりに力を入れている」と話す。

 このほか、京都造形芸術大(左京区)も来年4月に府認可の通信制の付属高を開設する準備を進めている。大学講義棟の一部を教室とし、大学教員が出張授業をするなど芸大の強みを生かす予定という。

 開設が相次ぐ背景にあるのは不登校生徒の増加だ。文部科学省の調べでは、京都府内の公立中学校(京都市含む)の不登校生徒は17年度で1885人と6年連続で増えている。高校も不登校は京都府が866人、滋賀県が1135人、中途退学も京都府が750人、滋賀県が506人と少なくない。各通信制高は、新入生だけでなく、転入生や編入生を取り込もうとしている。

 各校が提示する多様な学びの形は生徒にも人気がある。府内の通信制高に転入した高校2年の女子生徒(16)は「自分に合ったペースで勉強ができるのがいい」と話す。以前通っていた学校では、人間関係に悩み一時不登校になったが、現在は大学進学を目指している。

 一方で、新設が増えると各校による競争の激化も予想されている。現在、京都府が認可する私立の通信制高は7校、滋賀県は3校。他府県で認可され、京滋に提携施設を置く高校もあるため、「特色がある学校だけが生き残るだろう」(府内の通信制高)との声もすでに出ている。

 通信制高の需要を見込み、さらなる参入が増えて競争が進めば、教育の質が低下する恐れもあるだけに、府教委は「きちんとした教育が行われているか、中学生の進学先として職員を派遣するなどして確認したい」としている。

【 2018年11月26日 17時24分 】

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