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小学校でプログラミングや英語…急速な教育改革に現場戸惑い

LINEを活用したプログラミング教育を体験する児童たち(京都市北区・紫野小)
LINEを活用したプログラミング教育を体験する児童たち(京都市北区・紫野小)

 教室のスクリーンに、無料通信アプリLINE(ライン)のやりとりが映し出される。「お地蔵さん」。教諭が調べたいことを打ち込むと、「子供たちの守り神です」と答えが自動で表示された。スクリーンを見つめていた児童からは、「おぉー」とどよめきが起きた。

 6月下旬、2020年度から小学校で必修化される「プログラミング教育」を先行体験する授業が、京都市北区の紫野小で行われた。観光客らに地元について詳しく知ってもらおうと、LINEの画面で質問に自動で答えるプログラムを子どもたちがつくった。

 授業は、プログラミング教育に力を入れる文部科学省が企画した。訪れた同省の担当者は「子どもたちが大人になる頃には、コンピューターは生活に不可欠になる。小学校段階から付き合い方を教えたい」と、新しい学びの必要性を力説した。

 20年度から教育内容が大きく変わる。急速に進む国際化や技術革新に対応するためとして新学習指導要領が導入され、小学校ではプログラミング教育が始まるほか、5、6年生で英語が正式な教科となる。安倍政権は12年の政権奪還後、教育再生を「経済再生と並ぶ最重要課題」に位置づけ、13年に教育再生実行会議を官邸に設置。早期の英語教育やプログラミング教育など財界の要望も取り入れ、政治主導で独自色の強い教育改革を矢継ぎ早に打ち出してきた。

 ただ、学校現場の準備は万全とは言い難い。「コンピューターや英語にアレルギーがある教員も多い」「新たにすべきことが多くて戸惑いもある」。現場の教員に聞くと、不安の声が次々と漏れる。

 「そんなことが許されるのか」。ある府立高の副校長は今月上旬のニュースに驚きを隠さない。英語の民間検定試験「TOEIC」の運営会社が、21年1月から大学入試センター試験の後継として始まる大学入学共通テストへの参加を「運営が複雑で対応が困難」と取り下げたのだ。同テストでは英語の「読む・書く・聞く・話す」の4技能を測る目玉として準備が進められてきた。副校長は「他の検定試験に波及しないか心配。受験生に不安が広がる」と危惧する。

 政府主導で教育の在り方を議論する枠組みは過去にもあった。1984年、当時の中曽根康弘首相が設置した政府直属の臨時教育審議会だ。かつて文科省の審議官として「ゆとり教育」を推進した京都造形芸術大の寺脇研客員教授は「臨教審は中立的な委員で3年ほど掛けて20~30年後の教育の在り方を議論した。安倍政権は、猛スピードで新しいことをやり、ほころびが出ている」と警鐘を鳴らす。「教育問題はこれまで中立的に議論されてきたため、選挙の争点になることは少なかった。安倍1強で教育内容が決められる今こそ、与野党で論争すべきだ」

  ◇     ◇

 参院選では安倍政権の6年半をどう評価するかが問われる。年金や景気、憲法改正や教育…。争点となっている政策課題の現場を訪ねる。

【 2019年07月14日 10時30分 】

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