出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

京大吉田寮問題「対話の理念に反する」尾池元総長が大学に疑問

京都大の現状について語る尾池元総長(京都市左京区)
京都大の現状について語る尾池元総長(京都市左京区)

 京都大が学生寮「吉田寮」(京都市左京区)の旧棟と食堂からの寮生退去を求めた訴訟が、京都地裁で行われている。対話の理念を掲げる京大が学生との訴訟を選んだことは、その学風の変質を示唆するのだろうか。社会にとっての大学自治の意味を考えるため、京大元総長の尾池和夫・京都造形芸術大学長(79)に聞いた。

 -大学側が学生を相手取った異例の民事訴訟になっている。

 対話を根幹とした教育を掲げる京大の基本理念に反している。権力を持っている大学側が弱い立場の学生を訴えるのは問題。私は2003年から約5年間総長を務め、その前には学生教育担当の副学長として学生との話し合いに臨んできた。今の京大にとっては過去の人間だが、外から見て現状には疑問を覚える。

 -現在の学生担当の理事・副学長は、学生と大学側の話し合いで結んできた過去の確約について「学生側から圧力を加えられる中で結ばされた」とし、引き継がないと宣言している。

 私が副学長だった時に吉田寮自治会と「団体交渉」した記憶はないが、同じ自治寮である熊野寮自治会とは経験がある。確かに夜中までかかって何日も話し合った。人数も教員側より学生の方が多かったが圧力に屈したことは一度もない。学生との対話では教員として責任と重みを持ってサインしてきた。吉田寮との確約書を引き継がないという姿勢に納得はできない。

 -対話の前提となる両者の信頼関係が構築できていない。

 学生は大学側を信じているから、対話を呼びかけている。条件付きで旧棟を出るという方針を示しているのに、大学側はなぜむげにするのか。そこまで学生に高圧的になる理由が分からない。また吉田寮以外にも京大には学生寮がある。なぜ吉田寮の老朽化だけを取り上げるのか、理解しにくい。

 -寮生が求める学生自治の意義とは。

 大学では学生をはじめとして、あらゆる立場の自治が認められなければならない。実際、京大の基本理念にも研究教育組織の自治が明記されている。自由な環境からこそ独創的な研究は生まれるはずだ。

【 2019年07月13日 20時49分 】

ニュース写真

  • 京都大の現状について語る尾池元総長(京都市左京区)
京都新聞デジタル版のご案内

    教育・大学のニュース