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「嫌われ者」PTA改革、役員立候補続出のわけ 保護者本音トーク

PTAの課題や改善策について話す今関さん(左)と岩竹さん=神戸市中央区・こうべ市民福祉交流センター
PTAの課題や改善策について話す今関さん(左)と岩竹さん=神戸市中央区・こうべ市民福祉交流センター

 PTAの問題点を議論する「PTAフォーラムin神戸」が8月下旬、神戸市中央区のこうべ市民福祉交流センターで催された。活動を見直して適正な組織に変えた神戸市の今関明子さんと、PTAの歴史を研究するヘルシンキ大非常勤教授の岩竹美加子さんが講演。全国の保護者ら約100人がグループで話し合うワークショップもあり、時代に合ったPTAの形を模索した。

 全国紙や地方紙など8社の教育担当記者有志でつくる実行委員会が主催した。昨年5月に続き、2回目。

 今関さんは、2013年から中学校のPTAで副会長、会長を務め、「広報」「研修」などの専門部を廃止した一方、校長と保護者が自由に話し合える場を新たに設けるなどした。その結果、役員選定は難航せず保護者が進んで立候補して決まるようになった。今年5月、その経緯をまとめた著書「PTAのトリセツ」を発行した。

 講演では改革を始めたきっかけを、「役員選びでくじ引きし、当たると泣くようなPTAはおかしいと思った」と振り返った。「今のままではPTAが嫌われ続ける。子どもを不安にさせることはなくしたい」と、保護者にアンケートを行い、活動をより子どもに関わる内容に見直したと説明した。

 一方で、PTAは「学校との窓口として必要」といい、改革の鍵として「校長を動かさないと物事は動かない。まず校長と話をすべきだ」と強調した。

 フィンランド在住の岩竹さんは、PTAの歴史を研究し、著書に「PTAという国家装置」がある。

 講演では、国や地域への奉仕を求めた戦前の大日本婦人会がPTAの源流にあるとし、「このネットワークがあったため、戦後すぐにPTAが組織化された」と分析。そこからPTAを通じて保護者を地域に従属させる構造が生まれたとの見方を示した。

 見直しの方向性として「行政のいいなりになるのでなく、行政に歯止めを掛けるPTAになるべき。親を縛るのでなく、親を力づける組織にしていくことが大事だ」と強調。「行政のためではなく、親と子のニーズに合った活動をすべきだ」と訴えた。

 改革に向けて「個々の努力だけでは難しい。ネットワークをつくって改善に向けた知識を集約し、社会運動化していく必要がある」と呼び掛けた。

 フォーラムでは、参加者が少人数グループで議論し、さまざまな意見や提案を出し合った。

 PTAを巡る課題では、「研修旅行として会費で工場見学に行ったが、5人しか参加しなかった」「PTAに入ってつらい思いをし、体を壊した」などと活動に関心が高まらない実情や運営の大変さが語られた。背景として「前例踏襲から抜け出せないところに問題がある」との指摘も出された。

 望ましいあり方として、できる人ができることをする組織▽改革したいという意見をしっかり聞くことができる組織▽やりたいことがあればでき、嫌なことがあれば拒否できる組織-などが示された。ある参加者は「やるからにはワクワクして、有意義な活動がしたい」と訴えた。

 組織を変える方法としては、「アンケートをとり、必要な活動と不要な活動を可視化して明示することが重要」との意見が出された。自主的な参加を促す具体策として、活動ごとに参加者を募る「エントリー方式」が示され、「導入すれば、『まとめる人がいなくなるのでは』という懸念もあるが、全体の5%くらいはやる人がいる」と見るPTA関係者もいた。

【 2019年09月09日 16時30分 】

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  • PTAの課題や改善策について話す今関さん(左)と岩竹さん=神戸市中央区・こうべ市民福祉交流センター
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