出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

ハエの唐揚げ、ナマズ…都市河川の魚を記者が食べてみた

ナマズのかば焼き
ナマズのかば焼き

 アユにオイカワ、サツキマス-。京都市の中心部を流れる鴨川には、実はさまざまな魚が生息している。そんな川の幸は、かつて京の食卓を彩っていた。今では遠い存在になってしまったが、食文化として後世に伝えるため市民団体が復活に向けて動いている。「泥臭い」といったイメージがあるが、味はどうなのか。市民団体が主催した食味会に参加した。

 机に鴨川などでとれた川魚がずらりと並ぶ。今月4日に伏見区の京都大防災研究所宇治川オープンラボラトリーであった食味会。大学の研究者や市民、賀茂川漁協(京都市)や京淀川漁協(八幡市)などでつくる「京の川の恵みを活かす会」が、食を通じて川に親しんでもらおうと開いた。

 鴨川でとれ、この日の朝に血抜きしたコイは刺し身にされた。一切れ、口に運ぶ。新鮮だからだろうか、臭みは少ない。小骨が気にはなったが、身が引き締まっていておいしい。摂南大2年の若林康平さん(20)=神戸市=も「タイみたいな食感で食べやすい。おいしくないと思っていたが、川魚のイメージが変わった」と驚く。あらなどはみそ汁で煮込んだこいこくにした。

 七条大橋周辺でとれたナマズのかば焼きは、ふわふわに焼き上がった身がタレと絡み、食べ応えがあった。ハエ(オイカワ)の唐揚げは、脂がのってうま味も凝縮されていて絶品。いずれも瞬く間に大皿からなくなった。

 注目を集めたのがサツキマスだ。渓流にすむサケ科のアマゴの中には、海に下って大きくなり、再び産卵のために川に上る個体がいる。それがサツキマスで、この日の魚は今年7月に五条大橋で釣られた。賀茂川漁協によると、体長46センチ、重さ1120グラムは鴨川産では過去最大級という。すぐに冷凍保存していたので鮮度は十分だ。刺し身でいただいた。味はサーモンに近いが、より淡泊に感じる。「脂身が苦手なのでサーモンよりおいしい」との声が聞こえた。

 上流と下流で協力して機運を盛り上げようと、淀川河口域を主な漁場とする大阪市漁協も初めて参加した。淀川産のウナギのかば焼きや特産の「べっこうしじみ」を使ったしじみ汁を振る舞った。

 活かす会の会員で日本食育者協会(伏見区)の代表理事でもある藤掛進さん(66)は「かつて京都では鴨川や琵琶湖、巨椋池でとれた淡水魚を食べる文化があった。しかし、今では川魚といえばイメージされるのはアユくらいで、食べる機会や場所がない」と話す。

 催しでは、オイル漬けやペーストなど、手に取りやすい加工品で裾野を広げようとする取り組みも紹介された。

 食味会に参加して、川魚は立派な食材だということが実感できた。知名度アップや流通の仕組みづくり、河川環境の改善といった課題は山積するが、川の幸が食卓に並ぶようになれば、もっと多くの人が鴨川を身近に感じてくれるようになるはずだ。

【 2018年11月11日 13時47分 】

ニュース写真

  • ナマズのかば焼き
  • ハエ(オイカワ)の唐揚げ。脂がのって絶品
  • 鴨川などでとれた川魚(京都市伏見区・京都大防災研究所宇治川オープンラボトリー)
京都新聞デジタル版のご案内

    環境・科学のニュース