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天然記念物ウツクシマツ「このままでは消滅」滋賀、残り82本に

被害が深刻なウツクシマツ自生地の保全について議論された有識者委会合(湖南市中央1丁目・サンライフ甲西)
被害が深刻なウツクシマツ自生地の保全について議論された有識者委会合(湖南市中央1丁目・サンライフ甲西)

 滋賀県湖南市は10日、国の天然記念物であるウツクシマツ自生地(同市平松)の保全策などを練る有識者らの計画策定委員会の第2回会合を開いた。委員が、約半年で15本が枯れて82本しか残っていないと現状を報告。市はこれまでの対策が「不適切だった」と認めた。

 平松区長の奥村修委員(69)が、保全活動に取り組む地元老人会が行っている調査結果を示した。1980年に255本あったのが、2016年に115本に減り、今年6月は97本、11月には82本だった。奥村さんは「このまま進むと計算上は4~5年で消滅する」と危機感を訴えた。

 市は今年8月の説明で「約150本が枯死せず残っている」としていた。

 枯死対策として、市は1979年に旧甲西町が定めた保護事業に基づきウツクシマツの樹幹への薬剤注入などを行っている。「薬剤注入して、これほど松枯れが進むとは考えられない」との別の委員の指摘に対し、市は、薬剤量や注入位置が不適切で効果が得られなかったと説明し、来年度から実施する新たな薬剤注入・散布などの案を示した。

 委員からは「既に全てのマツに病原体が入っている可能性が高い。周辺の普通のマツにも薬剤注入しなければ効果がない」などの指摘が出た。委員長の前迫ゆり大阪産業大教授(63)=生態学=は「想像以上に危機的状況。生態系を見極めた対策を早急に行う必要がある」と話した。

 ウツクシマツは根元から枝が放射状に分かれた珍しい樹形で、同市平松の美松山(びしょうざん)にだけ群生。自生地1・9ヘクタールが国の天然記念物に指定されている。

【 2018年12月11日 12時12分 】

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  • 被害が深刻なウツクシマツ自生地の保全について議論された有識者委会合(湖南市中央1丁目・サンライフ甲西)
  • 国の天然記念物であるウツクシマツ
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