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京大のグループがALSの治験開始 がん治療薬からiPS創薬

 運動神経が徐々に消失して全身の筋力が低下する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬候補の治験を始めたと、京都大のグループが26日発表した。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って既存のがん治療薬からALSに効果のある種類を、2年前に見つけていた。治験は安全性を確認することが目的で患者の参加については今後、調整する。

 ALSは進行性の難病で国内の患者は約9千人とされ、有効な治療法開発が課題となっている。iPS細胞研究所の井上治久教授らは2017年5月、ALSの患者から作ったiPS細胞で病態を再現した実験で、白血病治療薬の一つ「ボスチニブ」が効果を持つと分かったと発表。治験の準備を進めていた。

 治験は20歳以上80歳未満で、比較的進行が初期の患者を対象としている。そのほか、気管切開を行っている患者は除外するといった基準を設けている。

 治験は京都大医学部付属病院を含めた4機関で実施する。24人の参加を目標とし、それぞれ3カ月の観察期間などを経た後、3カ月にわたってボスチニブを投与する。被験者は4グループに分け、1日1回の投与量は100~400ミリグラムとグループごとに変える。ボスチニブは、肝機能障害や下痢が生じる場合がある。ALS患者に特有の副作用が出る可能性もあるため、100ミリグラムという少量を投与するグループから開始する。

 井上教授は「20年前からALSの治療法の研究を始めた。まだまだこれから。慎重に安全性を見極めたい」と話した。患者の参加については今後、同研究所のホームページで情報提供する予定。

 iPS細胞を使って見つけた別のALS治療薬候補の治験は、慶応大も進めている。

    

■従来と異なるアプローチ、効果は未知数

 岐阜大医学系研究科の下畑享良教授(神経内科学)の話 患者さんのiPS細胞を使って病態を再現して見つけた治療薬候補は従来とは異なるアプローチであり、効果に期待が持てる。ただ、患者さんの体内に入った治療薬候補が、どのような効果を持つのかは未知数だ。

 また、今回の治験は安全性を確認することが目的であり、効果の検証は、今後の別の治験に委ねられることとなる。患者さんにとっては一刻も早い治療薬開発が待たれるが、効果が確認されるまでには、まだ時間が必要だ。

【 2019年03月27日 00時00分 】

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