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社説:プラごみ規制 排出削減や代替対策を

 有害ごみの輸出入を規制するバーゼル条約の対象に、汚れたプラスチックごみが加わる。プラごみに関する初の国際的な法規制だ。

 スイス・ジュネーブで開かれた締約国会議で、日本がノルウェーと共同提出した条約改正案が採択された。これまで「リサイクル資源」として輸出してきたプラごみについて「汚れ」の程度により規制できるようになる。

 世界各地で問題化しているプラごみによる海洋汚染に歯止めをかける狙いだ。

 各国は国内リサイクル体制の強化が求められる。今回の採択に環境省幹部は「取り組みをリードできた」と成果を強調するが、輸出減少は世界的な流れである。

 四方を海に囲まれ、さまざまな恩恵を受けているのに、日本の対応は遅れている。「使い捨て大国」を返上するには、「脱プラスチック」の取り組みが必要だ。

 使い捨てプラスチックの使用禁止など排出削減や、代替素材への転換である。プラごみ排出を前提とした私たちの暮らしも見直しが迫られる。

 条約改正の背景には、2018年1月の中国の資源ごみ輸入禁止措置がある。中国はそれまで最大の輸入国で、行き場を失ったプラごみが世界各地であふれ、海に流出する懸念が増大した。

 日本国内で17年に排出されたペットボトルやトレーなどのプラごみは903万トンにのぼる。23%が再利用されたが、このうち国内処理は4割程度にとどまる。

 多くを低コストの途上国に依存し、100万トン以上が東南アジア諸国などに輸出されてきた。

 近年、各国は輸出規制に動いている。このため国内では処理が追いつかず、一時保管所に山積みになっているところもあるという。現状を放置できない。

 条約改正により、飲み残しのあるペットボトルなど汚れたり、生ごみと混じったりするなどしてリサイクルに適さないプラごみは、条約相手国の同意なしに輸出できなくなる。

 ごみの「汚れ」の程度について、具体的な線引きが今後の焦点となる。洗浄や分別といったリサイクルの過程の途中にあるものをどう扱うかなど議論を急ぐべきだ。

 環境省は30年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%削減する資源循環戦略案を策定中だ。

 戦略にいかに道筋をつけるかが問われる。実効性のある法整備を進め、削減を着実なものにしていかなくてはならない。

【 2019年05月14日 13時00分 】

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