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低酸素でもイサザやスジエビ確認 「全層循環」未完了の琵琶湖底

北湖の東西断面溶存酸素濃度分布図
北湖の東西断面溶存酸素濃度分布図

 滋賀県は20日、今冬初めて「全層循環」完了が確認されなかった琵琶湖の「第一湖盆」(水深90メートル)について、最新の水質調査の結果を発表した。湖水1リットル当たりの酸素濃度は例年春に比べて低いままだが、イサザやスジエビの生息を確認したといい、現時点では顕著な影響は見られないとしている。

 酸素を多く含む表層の水が冷えて湖底に行き渡る現象「全層循環」は、「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれ、湖の生態系維持に欠かせないとされる。今年は暖冬の影響で水深の深い第一湖盆で循環が遅れ、1979年の観測開始以来初めて水深約80メートルまでしか表層水が到達しなかった。

 第一湖盆の定期調査では、水深90メートルの酸素濃度が水1リットルあたり5ミリグラムと表層の半分ほどしかない箇所もあり、県は調査回数を通常の倍の週1回に増やしていた。その結果、5月13日に第一湖盆の全7カ所の調査地点で酸素濃度が7~8ミリグラムに上昇したことを確認。16日にはイサザなど湖底の生き物が遊泳する様子を水中ロボットで撮影した。

 県琵琶湖保全再生課は「4月の強風で底層水が混ざり合い、酸素濃度が均一化した」と説明。ただ、全層循環が完了した年は酸素濃度が10ミリグラム近くになるため、今年は1~2ミリグラムほど低い水準という。

 底層水の酸素濃度は通常、晩秋にかけて下がり続けるため、今年は生態系への影響が懸念される「貧酸素」の基準(2ミリグラム)に近づくのが早まる可能性もある。

 県は今後、水質調査の頻度を2週間に1回に戻し、必要に応じて水中ロボットを投入する方針。20日の定例会見で三日月大造知事は「担当部局には引き続き注意深く見てほしいと指示した」と述べた。

【 2019年05月20日 23時00分 】

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