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琵琶湖の「厄介者」外来水草、生息地図開発 対策に年3億円以上

オオバナミズキンバイが繁殖する可能性が高い地点を青く塗ったマップを持つ田中准教授。赤い部分は2016年に生息を確認した区域(京都市左京区・京都大)
オオバナミズキンバイが繁殖する可能性が高い地点を青く塗ったマップを持つ田中准教授。赤い部分は2016年に生息を確認した区域(京都市左京区・京都大)

 琵琶湖で大量に繁茂し、駆除が必要な特定外来生物の水草オオバナミズキンバイについて、京都大の田中周平准教授(43)=環境工学=が、生息しやすい場所を予測したマップを開発した。波が低い場所で群落を形成していることを突き止め、駆除後の再繁茂を防ぐ監視活動を続ける滋賀県の関係者に配る予定。田中准教授は「マップを活用すれば最大で7割ほど作業時間を短縮できる」と、効率化につながるとしている。

 オオバナは通年生育し、春から夏にかけて大きく成長する。2013年に琵琶湖で面積を拡大させ、守山市や草津市などの南湖を中心にピーク時の16年度には約30万平方メートルに及んだ。漁船の航行などに影響を及ぼす「厄介者」とされ、県は駆除によって約8万平方メートル(17年度)まで減らしたが、再生力が非常に強く、継続的な巡回で再拡大を警戒しているのが現状だ。対策に、県と国は年間3億円以上を費やしている。

 田中准教授と京大の学生は12年から、琵琶湖全域でオオバナの群落を調査してきた。今回は15年に観測した55群落について、風速や対岸との距離から算出した波の高さと繁茂の関係を調べた。波が18センチ以上になると群生せず、8センチ以下なら大規模な群落を形成していることが分かった。

 オオバナは茎や葉の断片から再生するが、「波が高いと、岸辺に定着できないようだ」と田中准教授は分析。長浜や彦根など北湖東岸で群落の確認例はなく、比良山系から強い風が吹き、繁茂しにくいことが要因と考えられるという。

 研究結果を反映させたマップは、135ページあり、50部作成した。南湖と北湖の60地点の航空写真にオオバナが繁茂する可能性が高い範囲を青く塗り、16年に田中准教授らが実際に生息を確認した地点を赤色で示した。駆除と監視を担う県の委託業者らがマップを見て巡回すれば、優先度の高いポイントが分かるという。

 田中准教授は「今後は環境DNA技術を使い、水をくむだけでオオバナが生息しているか判定できる技術を研究したい」と話している。

 26日午後1時半から京都市左京区の京都大益川ホールで、研究成果を市民に伝えるシンポジウムを開く。参加無料で、事前申し込み不要。

【 2019年05月25日 18時09分 】

ニュース写真

  • オオバナミズキンバイが繁殖する可能性が高い地点を青く塗ったマップを持つ田中准教授。赤い部分は2016年に生息を確認した区域(京都市左京区・京都大)
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