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産卵あえて流れ速い場所 親魚の知恵、琵琶湖のホンモロコ

ホンモロコが産卵する川のイメージ
ホンモロコが産卵する川のイメージ

 琵琶湖固有種の淡水魚ホンモロコが河川で産卵する時、内湖に近く、流れが速い場所を好むという研究結果を、滋賀県水産試験場の亀甲武志主任主査らのグループがまとめた。ふ化直後に餌の豊富な内湖などに早く流下させるための「親魚の知恵」とみられる。亀甲さんは「産卵に適した環境を解明することで、ホンモロコの保護につながる」と話している。

 成果は日本魚類学会の英文誌に掲載された。県によると、2017年に琵琶湖で水揚げされたホンモロコは19トンで、近年は回復傾向だが依然としてピーク時(1974年)の5%。半数程度は、水量が豊富で外来魚などの被害を受けにくい内湖に流入する河川で生まれているとみられる。

 亀甲さんらは14年春、伊庭内湖(東近江市)に流入する躰光寺(たいこうじ)川と、西の湖(近江八幡市)に流れ込む蛇砂川で、遡上(そじょう)したホンモロコがどのような環境で産卵するかを調べた。川の流れに逆らって産卵する動画の撮影にも成功した。

 その結果、産卵が確認できたのは、川の流れが毎秒40~50センチと速く、「人が踏ん張らないと立てない」ような場所に集中した。同20センチ未満と流れの緩い所で卵は見つからなかった。理由として、流れが速いと卵に多くの酸素が供給されるメリットがある。さらに、川には稚魚の餌になる動物プランクトンが少なく、流れに乗って早く内湖にたどり着ける利点もあるという。

 流速に加えて、ホンモロコは、水草が繁茂したり、川底に大きさ2~6センチの石があったりする環境を選び、「水草や石に卵を産み付けている」という。琵琶湖では沿岸部にあるヤナギやヨシなどに産卵するが、川では岸辺は流れが緩く、卵は確認できなかった。

 亀甲さんは「琵琶湖よりも河川の方が産卵の密集度は高い。ホンモロコのためにも、川の環境を守ることが大切だ」と話している。

【 2019年09月09日 10時33分 】

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