ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

今熊野生活支援あしの会

「志」で運行のバス 大好評
買い物に困る高齢者の足に(2016/01/25)


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ミニバスに乗り込む利用者ら(京都市東山区今熊野南谷町)

 過疎化や高齢化、さらにはバス路線の廃止などによって食料品や日用品の買い物困難という現象が全国各地で起こっている。それは大都市周辺部の高齢化が進む地域でも同様である。

 京都市東山区今熊野地区。高齢化が進んでいる地域のひとつだ。その今熊野地区の山側には閑静な住宅街が続く。緑が多く環境はいいのだが、交通が不便だ。市バスや民営バスは入って来ない。ところが最寄りのJR・京阪東福寺駅から歩けば上り坂なので20分から30分はかかってしまう。足の悪い人なら40分は必要だ。

 地元では何とかミニバスを走らせられないかという願いが以前からあったが、なかなかうまくいかなかった。そんな中で同地域に住む福田光代さん(77)らが中心になってミニバス運行の運動を展開した。京都急行バスの理解と協力を得て、今から5年前に「今熊野生活支援あしの会」によって実現することができた。「初めから大好評だったんですよ」と同会会長の福田さん。

 今月中旬の運行日の朝、出発の停留所「南谷町」に高齢者が集まってくる。「おはようございます。今日もよろしくお願いします」「寒いですね」と利用者同士のあいさつが親しく行われる。はく息は白い。利用者の木下静子さん(88)は「便利ですね。買い物でこのミニバスを使ってます。この日が本当に楽しみなんですよ」と乗車中の語らいも楽しむ。丹地フキさん(86)も「私は必ず利用しています。本当に助かっています」と明るい笑顔だ。もう一人の79歳の女性は「雨の日も寒い日もバスを走らせてもらって感謝の気持ちでいっぱいです。買い物が多いですね」と話す。

 ミニバスには20人以上乗れる。朝9時過ぎに南谷町を出発して第一日赤病院や東福寺駅、東大路通りの各スーパー、延仁寺、元今熊野小など20カ所以上の停留所に止まる。出発地はもちろん主要停留所にはそろいの薄緑色のジャンパーを着たボランティアスタッフが待機して乗降の手助けなどをする。また福田さんやスタッフも乗り込んでいて補助ステップを置いたり荷物を運んだり、利用者に声をかけたりして励ましている。「月2回運行し、だいたい一日20人近くが利用されます」と福田さん。

 運賃は決めず利用者それぞれの「志納金」というかたちで対応している。これだけで運営費をまかなうわけにはいかず会員の会費、ボランティアスタッフらのカンパのほか、赤い羽根共同募金や京都新聞社会福祉事業団の助成金などに頼っているが、台所は苦しい。

 「あしの会」会員の中には「もっと行政に要望を伝えて支援してもらおう」という声や「行政は東山界わいの観光施策には積極的だが、地元の生活の交通の便については熱心でないのは残念」という声も上がっている。福田さんは「現状ではなかなか大変だが、もっと本数を増やしたいですね。スタッフ一同、これからも笑顔で頑張っていきます」と力強い。「あしの会」はバス運行を通じて地域の生活を支えている。

今熊野生活支援あしの会
ミニバス運行は2011年10月にスタート。当初は月1回で巡回ルートも少なかったが、その後、現在の月2回運行している。会員は約150人。