ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
広がる 地域の輪

西京視覚障害者ボランティア「ジョイント」

眼となり、共に楽しむ
編み物・点字・朗読・散策・・・(2019/05/27)


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編み物サークルに集まり、作業に打ち込む女性たち。目の不自由な人が編むセーターなどを、ジョイントのメンバーが脇から手助けして仕上げる(16日、京都市西京区大枝東長町の洛西寮)

 棒針やかぎ針を手に、女性たちが編み物に集中している。いずれも針使いが巧みで、目の不自由な人が誰なのか見分けがつかない。立ち上がり、編みかけのピンクのセーターを肩から羽織った女性が隣の人に尋ねた。「着丈はどう?」「お似合い。若返ってみえるよ」。周りから笑みがこぼれた。

 視覚障害者ボランティア「ジョイント」の編み物サークルは、京都視覚障害者支援センター「洛西寮」(京都市西京区)で、月2回開く。5月半ばの例会には11人が集まった。視覚障害のある人は4人で、ジョイントのメンバーたちは、編み目を数えたり脇や袖の仕上げを手伝う補助役に徹していた。

 「サークルは編み物だけでなく、レクリエーションや情報交換の場を兼ねています。私たちの活動は、安らぎや交流の機会を提供することも目的ですから」。ジョイントの連絡員(世話役)を務める北田桂子さん(62)は、会場でそう語った。

 ジョイントの発足は?年前にさかのぼる。西京視覚障害者協会(西視協)で、全盲の女性が新会長に就任。そのサポートに当たるボランティアを地域で募ったところ、53人が応じこれが母体となった。

 設立理念は「目の不自由な人の、目の代わりになる」。日常的な活動は、個人・団体からの要請を受けて行う外出時の手引き(歩行誘導)をはじめ、点訳、障害者行事への参加支援、街頭啓発、点字体験教室の開催…と幅広い。小中学生に手引きの方法を教える福祉教育活動もある。

 視覚障害者の学びや生きがいづくりをめざすグループ・サークル活動には、早くから取り組み、現在、編み物のほか点字、朗読、散策の4部門がある。「共に楽しみながら参加する」が原則で、会員の中には、2部門をかけもちする人が少なくない。

 長期間の地道な活動は、時に予想外の成果を生むこともある。昨夏、障害者理解の啓発に他団体と阪急桂駅前でティッシュを配布中に、市バスを待つ乗客が点字ブロック上をふさいで並ぶ様子が確認された。西視協の指摘で常態化していることもわかり京都市に改善を訴えた結果、乗客が本来並ぶ場所に白線が引かれ、点字ブロックの立ちふさがりは解消した。

 橋本和子代表(59)は「小さな取り組みが実を結んだ実例」と喜ぶ一方で、幅広い市民に小さな気配りの必要性を訴える。「視覚障害者が駅ホームから転落する事故がなくなりません。ハンディのある人に、周りが少しだけ気を配り声をかける勇気を持ってほしい。目や耳が不自由でも、自由に街を歩ける社会の実現。それが私たちの究極目標です」

 ジョイントはいま、女性会員が9割近くを占め会員の高齢化も進む。男性や若い世代の会員確保が課題だが、仕事を持つ女性の増加などで入会は低調、という。橋本代表らは、街で「声をかけにくい」「手を貸す方法がわからない」という一般心理が、視覚障害者と市民の触れ合う機会を奪い、会員確保にも影響していると分析。今後、ふれ合い行事など機会の創出とPRに力を入れることにしている。

ジョイント
西京区内の視覚障害者支援を目的に1994年発足。個人や団体からの要請に応じて手引きや代読などを行う。2012年の京都市社会福祉大会で市長表彰を受けた。会員は40〜90代の男女53人。事務局075(963)6014