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宇宙カレンダー

 台風が過ぎればそろそろ梅雨明け。空を見上げて、子どもの頃に憧れた故カール・セーガン博士発案の「宇宙カレンダー」を思い出した▼ビッグバンで宇宙が誕生したのは138億年前。やがて最初の星が、銀河がつくられる。仮に1月1日にビッグバンが起きたとして現在までを1年のカレンダーにすると、地球ができたのは夏の終わり、8月31日ごろに当たるそうだ▼ヒトの誕生は? 10月、11月、12月?今か今かと待つうち大みそかの夜に。新年まであと8分になってようやく現生人類が生まれ、古代文明の成立から産業革命まではわずか数秒。人の営みの小ささを思い知る▼このところしきりに「人生100年時代」と聞くが、宇宙カレンダーで100年は0・23秒にすぎない。1億6千万年栄えた恐竜の時代は4日だ。私たちの未来はどうだろう。恐竜より長いか、それとも…▼選挙になると横行する目先の人気取り、争点隠し。支持者の歓心を買おうと、理性より感情をあおって恥じない政治が広がっていないだろうか。参院選が投開票され、有権者の審判が下った▼熟議をいとわず、じっくりと腰を据えた仕事を「良識の府」の議員たちには期待したい。ヒトには恐竜よりも優れた知恵がある。そのことを宇宙史に刻むくらいの志を持ちたいものだ。

[京都新聞 2019年07月22日掲載]

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