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難病とタニマー

 タニマーと自らを呼ぶ人たちをご存じだろうか。希少な病や痛みを抱えながら、難病対策からも、障害福祉からも、制度の谷間で取り残された人たちがいる。ままならない体で高額な医療費にあえぐ▼厚生労働省は難病制度を大きく見直す。いま特定疾患として医療費助成があるのは56疾患のみ。漏れた患者団体の悲願だった対象となる病を広げる▼ところが新制度案は、医療費免除だった患者にも自己負担を求め、年収や病ごとの重症度で、線引きを増やす。患者の負担は一気に跳ね上がる▼タニマーによる制度の谷間をなくす会会員で、自己免疫性疾患の患者でもある作家大野更紗さんは、望みをかけてきた新制度なのに検討の最終局面で援助が削られ、落胆した。「今も切り詰めた生活。生命維持の医療さえ抑制する人が続出する」と憤る▼患者数が少ないため治療法や薬の研究が進まず、専門医も乏しい人を救済するのが難病対策の原点のはず。若い時から一生払い続ける医療費は、つらさをしのぐ薬や人工呼吸器のため。暮らしの必需品だ。けがでの一時入院費とは意味が違う▼病名や収入で支援をさらに区切れば、おのずとタニマーが増える。弱い人同士が分断されていく。安倍首相が難病当事者として語る「ライフワーク」に、失望が広がっている。

[京都新聞 2013年11月01日掲載]

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