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究極のエコカー

 「世界にまだない未来を競え」をテーマに、昨年11月に開催された東京モーターショー。市販を見据えて出展された燃料電池車(FCV)の試作車は近未来を予感させるデザインが印象的だった▼あれから1年、トヨタがFCV「MIRAI(ミライ)」を世界に先駆けて来月15日から販売すると発表した。ホンダも来年度中に参入予定で、いよいよFCVが実用段階へ走りだす▼FCVの燃料は自然界に無尽蔵にある水素だ。大気中の酸素と反応させて発電し、モーターを動かして走る。電気自動車に比べ短時間で燃料を補充でき、走行距離も長い。走行中に排出するのは水だけ。環境に優しい「究極のエコカー」と期待されるゆえんだ▼1994年に初のFCVがドイツで発表され、日本の自動車メーカーも開発を競ってきた。しかし、技術面に加えて、当初は製造コストが1台1億円を超え、市販への道は険しかった▼ミライは国の補助金を受ければ、高級車並みの520万円程度で購入できるとか。それでも高根の花に違いない。低廉化と併せ、約40カ所しか設置が決まっていない水素ステーションの拡充など普及への課題も多い▼とはいえ、車は人類が生んだ主な環境汚染源の一つだ。環境コストの低減につなげる「水素社会」の到来は近いと信じたい。

[京都新聞 2014年11月25日掲載]

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