凡語 京都新聞トップへ

子象の行進

 西部劇の王者ジョン・ウェインが荒野を離れ、アフリカの大地で野生動物の捕獲に奮闘する-。半世紀前の映画「ハタリ!」は知らない人も、今もよく演奏される挿入曲「子象の行進」の軽快なメロディーには聞き覚えがあるのでは▼曲名の通り、劇中では茶目っ気たっぷりの子ゾウのシーンで流れる。そんな映画さながらの愛らしい光景が京都市動物園にお目見えしている▼ラオスからやってきた4頭の子ゾウたちだ。飼育エリア「ゾウの森」は広々としているのに四六時中くっついているのは、古里では無縁だった底冷えのせいばかりではない▼4頭は7~3歳。ゾウの年齢は人とそれほど変わらないので、年長の雌でようやく小学校の低学年くらい。年下の雌2頭と最年少の雄は入学前で、まだ一人歩きが心細く、お姉さんのそばが安心なのだろう▼アジアゾウは国内に80頭ほどいるが、あと数十年で多くの動物園から姿を消すかもしれない。絶滅危惧種で輸入が難しく、繁殖に適した群れ飼育も少ないからだ。10年後の二世誕生へ、4頭に寄せる期待は大きい。その日のためにも早く風土に慣れ、健やかに育ってほしい▼京都でも、サクラが開花間近だ、ほどなく市動物園も爛漫(らんまん)となる。子ゾウたちは初めて目にする日本の花を気に入ってくれるだろうか。

[京都新聞 2015年03月27日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)