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御嶽山の教訓

 きょうは二十四節気の「大暑」。これから続く真夏日や熱帯夜を逃れようと、山や渓谷に出かける計画を立てている人も多いだろう▼その山が、このところ穏やかでない。5月以降、口永良部(くちのえらぶ)島、浅間山、箱根山と噴火が相次ぎ、阿蘇山や蔵王山など全国各地で火山活動が高まっている。東日本大震災による地殻変動の影響とみる専門家も少なくない▼「何が生と死を分けたのかといえば、ひとえに『運』だったと思います」。昨年9月の御嶽山の噴火から生還した人の言葉だ。「ドキュメント御嶽山大噴火」(ヤマケイ新書)で登山者が異口同音に証言している▼鼻やのどを焼く熱風、視界を完全に奪う火山灰、軽自動車ほどもある巨大な噴石。どんな登山装備も経験則も、確実に命を守るには足りなかった。57人が亡くなった現場で、行方不明のままの6人の捜索が来週再開される▼日本には110もの活火山があるが、活動の詳しいメカニズムは分かっていない。夏場に30万人が訪れる富士山も研究者が最も恐れる活火山の一つだが、噴火口の位置すら予測がつかない▼自分がどんな山に登ろうとしているのか事前によく調べること。現地で危険を察知したら、様子を見たり写真を撮ったりせずにすぐ逃げること。噴煙をくぐり抜けた人たちの教訓は、重い。

[京都新聞 2015年07月23日掲載]

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