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難民の子どもたち

 1枚の写真に、言葉を失う。赤いTシャツ、紺色ズボンの男の子の遺体がトルコの海辺に打ち上げられた。シリア難民のアイラン・クルディちゃん、3歳。遊び盛りだ。生前の写真を見ると、クマのぬいぐるみと並んで無邪気に笑っている▼アイランちゃんの家族ら、トルコからギリシャをめざす23人を乗せたボート2隻が沈没。亡くなった12人のうち、5人が子どもたちだ▼国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、内戦のシリア国内に難民は少なくとも760万人。国外に逃れた難民は400万人を超え、多くの子どもが含まれる▼一昨年だが、UNHCRがレバノンとヨルダンでシリア難民の子どもを調査したところ、半数以上が学校に通っていなかった。父親不在で自分が働き手になったり、戦闘訓練を受けたりしているという▼こうした子どもたちが「失われた世代」とならないか、深く危惧する。祖国の再興を担う人材が育たなければ紛争の悪循環はなくならない▼きょうは「国際識字デー」。学校に行けず読み書きができない人をなくそうと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が宣言して50年の節目だ。学校で勉強する前に犠牲となったアイランちゃん。難民の子どもたちのために、私たちに何ができるか。写真は問うている気がする。

[京都新聞 2015年09月08日掲載]

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