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最高齢スプリンター

 スプリンターと言えば、陸上では短距離走者を指す。世界最高齢のスプリンターとしてギネスに認定されているのは、明治生まれで京都市右京区の宮﨑秀吉さん(105)だ▼100メートル走や砲丸投げを行い、新聞やテレビで報じられる機会が増えた。100歳を超えて、競技を続けられる秘訣(ひけつ)は何か。静岡県出身で小学校の先生をしていたが、病気で退職。療養後に農協の職員や組合長を務めた▼運動は、20歳の頃に青年団の競技会に出たぐらいという。転機は92歳のとき。五輪三段跳び金メダリストの故南部忠平さんの妻、久子さんが高齢で砲丸投げをしているのを知り、挑むことにした▼むやみに取り組んだわけではない。毎食後に足踏みなどの体操。公園の練習には、長女で元看護師の聖之さん(74)が付き添い、脈拍を測る▼元気の源は、何事も「苦にしない」ことだ。ストレスをためないように「やれることは、その日のうちにやり、頭を空っぽにしておく」。一日の出来事を一行で簡潔に記す日記帳を見せてもらうと、表紙に「努力」とあった▼大切にしている言葉は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し」。徳川家康の遺訓とされ、部屋に自筆の書を飾る。「まだまだ、これから」。30日から岐阜市で始まる全日本マスターズに出る予定だ。

[京都新聞 2015年10月29日掲載]

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