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気象観測140年

 ちょうど今は年内最後となる二つの縁日の合間だが、「弘法さん(21日)が晴れやったら天神さん(25日)は雨や」と京のことわざにある。科学的予報がなかった時代、先の天候を知りたいという思いの表れなのだろう▼気象庁(東京都)の前身、東京気象台が1875(明治8)年に観測業務を始めてから今年で140年だ。今月上旬、同庁を見学する機会があった▼7月から運用を始めた気象衛星ひまわり8号の鮮明なカラー画像や、噴火が相次ぐ全国の火山のライブ映像を24時間態勢で監視する職員。スーパーコンピューターなど最新技術を駆使した作業を垣間見た▼滋賀県出身で同庁OBの古川武彦氏による著書「気象庁物語」に歩みが詳しい。新しい技術の導入とともに、防災情報の発表や国際機関との連携、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度測定など業務は拡大し続けてきた▼一方で戦争中、軍部に抵抗しながらも屈し、戦時体制に組み込まれていく状況も明かす。真珠湾攻撃で艦船の航路選びに使われたり、ジェット気流に乗せて米国本土を攻撃する風船爆弾に利用されたりと気象に関する情報は軍機となった▼日米開戦の1941年12月8日午前8時以降、気象情報は新聞やラジオでの発表が禁止された。天気予報は平和の象徴でもある。

[京都新聞 2015年12月24日掲載]

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