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北朝鮮からの揺れ

 朝鮮のことわざに<昼のことばは鳥が聞き、夜のことばは鼠(ねずみ)が聞く>とあるそうな。手元の「世界ことわざ大事典」(大修館書店)で知った。「壁に耳あり」と同じ意味である▼きのう昼前に地震の波形とは異なる振動が日本海を越えて伝わってきた。別に内緒ではなかったみたいで、むしろ「特別重大報道」と銘打って大々的に発表してみせた。北朝鮮初の「水爆実験」という物騒な触れ込み。ただ、技術水準に疑問があり、しばらく夜の鼠となって聞き耳を立てるしかない▼核実験は4回目。国連決議で制裁を受け、肝心の米国には相手にされず、血の同盟と言われた中国にも冷たくされている。身から出た錆(さび)と知るべきなのに懲りない▼5月に36年ぶりの朝鮮労働党大会を開き、対外関係改善を図るとの見方もあったが、自ら孤立の道を選んだということか。あす誕生日の金正恩第1書記の権威を高めるためなら、何をか言わんや、だ▼やはり朝鮮のことわざに<十日飢えると君子はいない>とある。君子然としている人も、飢えると何をしでかすか分からない、という意味らしい▼孤立を深め、切羽詰まれば。ことわざが現実にならないよう、国際社会は知恵を出すしかない。それにしても、核実験の陰で多くの人々が困窮していよう。何とかならないか。

[京都新聞 2016年01月07日掲載]

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