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雪の大寒

 きのうの雪で思い出した。やはり大雪を報じる本紙夕刊の「三十六峰」欄に先輩がのんきな調子で書いていた。<雪やこんこん、電車もこんこん…>▼雪で遅れた電車を口ずさんで待ち、そばでは<今日中に着きます>と携帯電話…とある。夕刊の届く頃には、朝のイライラも雪と一緒に解けるのを見計らった筆の走りかもしれない▼暖冬だと油断していたら、きょうの「大寒」に合わせたかのように、強い冬型の気圧配置が日本列島を覆った。北海道は猛烈な風雪に耐え、首都圏では雪に弱い交通網が大混乱、と地域でさまざまな雪模様を見せた▼吉田兼好は「徒然草」で<雪の面白う降りたりし朝>とつづり、信州の俳人小林一茶は<是(これ)がまあつひの栖(すみか)か雪五尺>と詠む。雪をめでる文化と雪に向き合う生活は、今もこの国を織りなしている▼一茶と同じ信州が出のお天気博士、倉嶋厚さんから「日脚(ひあし)」という言葉を教わった。昼間の長さを言うが、長野県では元日から31日までに日没時刻が30分遅くなる。1日1分。わずかの時間を「畳の目ほど」「米一粒ほど」といって、待ちわびるそうだ(「日本の空をみつめて」岩波書店)▼雪の深い信州で、夕方の明るさから近づく春を感じるのは、1月下旬が多いとも書いている。大寒を耐えれば、もうすぐ立春。

[京都新聞 2016年01月21日掲載]

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