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シロギスの養殖

 梅雨明けが待たれる今の季節、釣ってよし、食べてよしの海の魚といえばシロギスだろう。天ぷら、フライはもちろん、刺し身もいい。淡泊なぶん、くせがなく、どんな料理に使ってもおいしい▼釣り方はボートで沖に出て狙うか、浜辺からの投げ釣りが一般的だ。仕掛けを遠くに投げて、リールを巻き上げる。えさの石ゴカイを食べると、ブルッ、ブルッという引きがたまらない▼釣り上げた魚体はパールピンクに輝き、スマートで美しい。「海の貴婦人」と呼ばれる半面、悪食で知られる。激しく頭を振ってえさを食べる習性があり、当たりの良さはこれが原因だ▼マグロ養殖を手がける近畿大水産研究所が、シロギスの養殖に成功したという。「近大マグロ」と名付けたクロマグロは、14年も前に養殖魚から卵を採って完全養殖に成功している▼キスは和歌山県白浜町の実験場で3年前に釣り好きの院生が釣った。研究室で飼っていると産卵し、稚魚から育てた。今月から大阪・梅田と東京・銀座の専門料理店で提供している▼美味ながらも専門に狙う漁師がほとんどおらず、市場に出回りにくいキスに目を付けたのだろう。店にはマグロのほかに、ヒラメやクエ、イシダイ、トラフグ、アナゴ、オコゼが並ぶ。どの魚たちも「近大卒」と銘打った養殖魚だ。

[京都新聞 2016年07月16日掲載]

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