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体操ニッポン金

 「仲間との金メダルは、うれしいを超えている」。エース内村航平選手は息を弾ませ、高揚感に満ちて語った。リオデジャネイロ五輪で体操ニッポンが7度目の栄冠に輝いた▼前回金メダルのアテネ五輪は、金を決めた冨田洋之さん(洛南高出身)の鉄棒が「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架(か)け橋だ」の名実況とともに記憶に残る。それから12年、ベテランと若手が絶妙に組み合わさった新チームが偉業を成し遂げた▼幼い頃から才能を見いだされたエリートたちだが、ひ弱さはない。ミス連発の予選は4位、決勝でも一時6位に落ちたが、後半の高得点ラッシュで宿敵の中国、ロシアを逆転した▼伸び伸びとした演技は、アテネの「美しい体操」から、内村選手が言う「楽しい体操」への進化を感じさせた。新しい歴史はきっと「東京につながる」(内村選手)だろう▼とはいえ少子化による競技人口の先細りが影を落とす。世界で脚光を浴びる日本の体操だが、競技登録者は3万人余り。人気が集中するサッカーや野球、テニスなどには遠く及ばない▼男子に8年ぶりの金がもたらされた柔道界も同じく選手減に悩む。4年後の東京五輪では計33競技が実施される。リオの感動が多くの子どもたちに伝わり、多様なスポーツの裾野が広がる契機にと願う。

[京都新聞 2016年08月10日掲載]

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