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耐震シェルター

 例えば布団を敷いて寝ている部屋の内側に、一回り小さくて頑丈な立方体をパネル板で組み立てる。地震で家が倒壊しても、その1室は身を守る空間になる「耐震シェルター」をご存じだろうか▼1981年以前の「旧耐震基準」の木造家屋は耐震性が低く、熊本地震でも倒壊が目立った。家全体の耐震補強は費用負担が重いため、より安価なシェルターが注目されている▼京都府が4月、60歳以上の世帯などを対象に補助制度を設けた。実施には市町村の制度化も必要だが、既に宇治田原町が導入し、府によると府内約半数の自治体が年度内や来年度当初の導入を検討している▼家の状態にもよるが、自治体の補助があればシェルター設置の自己負担は10万円ほど。地震や水害時に地域で助け合う共助は大切だが、最初に自らの身を自ら守る自助があってこそ、隣人を助ける共助もできる▼子どもたちが独立して高齢の親だけで暮らす家が地方や都会でも増えている。「自分たちだけだから」と改修せずに老朽化する家も多く、専門家は倒壊の危険性を指摘する▼災害は弱者を狙い撃ちする。東北や北海道に甚大な被害をもたらした台風10号でも高齢者が犠牲になった。親孝行を続けるため、親と離れて暮らす人にこそ実家へのシェルター設置を検討してほしい。

[京都新聞 2016年09月04日掲載]

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