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達磨

 先日、インドネシアの145歳の男性が話題になったが、禅宗の祖・達磨(だるま)大師は150歳まで生きたとも伝えられる。来日したとの伝説もあり、縁起物の人形のモデルとして親しまれている。あす5日は命日の「達磨忌」だ▼インドから禅を伝えた。中国・梁の武帝に仏法の根本の教えを問われ、「廓然無聖(かくねんむしょう)」(カラリとして、聖なるものなど何もない)と答えた。悟りにすらとらわれない禅の本質を表す問答として知られる▼流れをくむ後代の禅語には「本来無一物」(執着すべきものは本来何もない)、「放下著(ほうげじゃく)」(投げ捨ててしまえ)の語もある▼物があふれる現代社会に、あえて過剰な物を徹底して捨て、身の周りの物を最低限にして暮らすミニマリストが注目を集めている。シンプルさを追求し仕事や趣味に集中して生活の質を高める狙いだ▼スタイルはさまざまのようだ。リュックにスマホなどわずかな日用品を納め、服は着ている1着だけという人や、本は1冊ずつ買い、読み終えたら誰かにあげてしまう徹底した人もいる▼禅僧で妙心寺退蔵院副住職の松山大耕さんは本紙の取材に「物を減らしたいのもある意味では執着で、物を持ちたいという願望と根本は同じ」と答えている。大量消費社会に、人と物との適度な関係をつくるのは難しそうだ。

[京都新聞 2016年10月04日掲載]

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