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年金の日

 きょうは「年金の日」。厚生労働省が一昨年、語呂合わせで「いい(11)みらい(30)」と読ませ、高齢期の生活設計に思いを巡らせてもらう日とした▼とはいえ、老後に「いい未来」を思い描ける人はどれだけいるだろう。急速に進む少子高齢化で、若い世代が高齢世代を支えるのは年々難しくなり、公的年金への信頼は揺らいでいる▼1980年度に96%あった国民年金の保険料納付率は、近年は非正規雇用の増加などもあり60%台に低迷。特に若い人の納付率が低く、将来、無年金や低年金になり、生活保護受給者が急増することが懸念されている▼このままだと現役世代のほぼ1人で高齢者1人を支えなければならない時代がやってくると言われる。賦課方式と呼ばれる今の世代間の仕送り方式で本当にやっていけるのか。そんな不安を抱く人は多いはずだ▼国会では支給額を抑制する年金制度改革法案を巡り与野党が激しく対立しているが、残念ながら、そうした素朴な疑問に答える議論があまり聞こえてこない▼今回の法案は、老後の支え方について改めて考えるいい機会である。過去には、給付を保険料ではなく、カナダのように税で全額賄う案などが検討されたこともある。「悪い未来」にしないためには抜本改革から逃げない議論がもっと要る。

[京都新聞 2016年11月30日掲載]

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