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二十六聖人殉教

 遠藤周作さんの小説を原作とした上映中の映画「沈黙-サイレンス」は、江戸時代初期のキリシタン弾圧下の隠れ信徒や、潜入したポルトガル人宣教師たちの苦悩を描く▼繰り返される処刑や拷問のシーン。信仰とは何か、救いとは何か、人間にとって大切なものとは何かを考えさせられる大作だ▼それより数十年さかのぼった1597年の今日2月5日、日本最初のキリシタン殉教者「二十六聖人」が長崎で十字架にかけられた▼京で布教活動していた外国人宣教師や日本人信者らが中心で、捕縛されて耳をそがれ、洛中を引き回された後、約800キロ離れた処刑地まで歩かされたという。京都市下京区岩上通綾小路上ルにゆかりの石碑が立つ▼京都にはキリシタンをしのぶ場所が多い。中京区蛸薬師通室町西入ルには安土桃山時代の教会「南蛮寺」跡の石碑があり、右京区の妙心寺塔頭春光院には南蛮寺の鐘(重要文化財、非公開)が残る。京都国立博物館(東山区)の庭には市内発見のキリシタン墓碑が安置される▼杉野榮氏著「京のキリシタン史跡を巡る」は「キリシタンの跡を訪ねることは、新しい京都のあり方をも考える大切な旅ともなる」と説く。そこに目を向ければ、社寺だけでない、さらに奥深い歴史を持つ古都の姿が見えてくるかもしれない。

[京都新聞 2017年02月05日掲載]

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