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山鉾観光化の功罪

 全国の「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産の登録を、政府は海外観光客の増加につなげる方針を打ち出した。行政が民の祭りに関与する功罪を、祇園祭の山鉾運営に携わる佛教大の八木透教授は指摘する▼亀岡祭の地元で山鉾の保存や活用を考える行事で、八木教授は述べた。亀岡祭の最大の魅力は、旧城下町の伝統的な狭く曲がる経路を巡行する風情だろう▼本家の祇園祭は、観覧席を設けた幅広い道を通る。高度成長期に観光振興を意図した行政が、本来の山鉾町内からの変更を求めたからだ▼神社の神幸祭と還幸祭に合わせた前祭(さきまつり)・後祭(あとまつり)も、観光のために一本化された。「信仰の本義に外れる」と巡行を拒否した山もあった。山鉾連合会が後祭を復活させた背景には、観光ショー化から「本義」に戻そうとの悲願があった▼都市祭礼としての山鉾巡行は、「風流(ふりゅう)」と呼ばれる町衆の遊び心と美意識とも関わって、「見られる」要素も欠かせない。亀岡市の講演で八木教授は「保存と活用のバランスが重要だ」と伝えた▼山鉾の維持修復や組織の運営は、地元の町内だけでは不可能だ。行政の補助金に頼ると、信仰面とは別な注文が必ずつく。幅広い住民が「地域の宝」として会費制の後援会やボランティアで財政や人的に支える仕組みを広げたい。

[京都新聞 2017年03月06日掲載]

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