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ネギの町

 ネギは冬の季語だが、その花「葱(ねぎ)坊主」は春の季語だ。九条ねぎの産地、京都府久御山町で<ここに一畝かしこに一畝葱坊主>(山口青邨)の句の通り、愛らしい葱坊主をあちこちの畑で見掛ける▼同町北川顔(きたかわづら)の村田和弘さん(50)の農園を訪ねた。年間を通じて九条ねぎを収穫しており、芽生えてすぐの苗から出荷待ちの食べ頃までが、ハウスや路地で整列していた▼毎年、栽培面積を増やしているといい、村田さんの元で働いていた3人がすでに独立し、若手ネギ農家が増えつつある。町内には洗浄から包装まで機械化された集出荷場が2015年にでき、東京への販売も強化している。白ネギ文化の関東で青ネギ消費が増えているのが追い風だ▼町が九条ねぎのグルメ店を紹介する冊子を作ったので、食べ歩いてみた。焼きカレーはネギが香辛料を引き立てるアクセントに、お好み焼きはラーメンに次ぐ九条ねぎの定番ともいえ、粉ものとの相性は良い▼町商工会青年部も「ネギーマン」というご当地キャラを各地の催しに出動させ「ネギの町」をPRしている▼「お茶の京都博」が開催中の山城地域では、農産物と言えば茶であり、京野菜といえども隠れがちになる。その中で九条ねぎは強い香りと風味同様、近郊農業の薬味として存在感を発揮している。

[京都新聞 2017年05月01日掲載]

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