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猫人気

 あなたは犬派? それとも猫派? ペットを飼っていなくても、一度は尋ねられたことがあるだろう。それほど犬と猫は身近だ▼猫ブームが続いている。ペットフード協会の犬猫飼育実態調査では、2016年10月時点の猫の国内飼育数は984万7千匹。対して犬は12年以降は減少傾向で、数年前までの200万匹以上の差が埋まりつつある▼とはいえ、人気は今に始まったことではない。猫は仏教の経典をネズミから守るため船に乗せられて渡来したとの通説があり、平安時代には日本霊異記や源氏物語にも登場する▼江戸時代には庶民生活に溶け込み、ネズミを捕らえる益獣として期待され、魔をはらう縁起物になった。人に忠実な犬と違い、魔性を強調されつつも、浮世絵にも多く描かれた▼人気の立役者、浮世絵師の歌川国芳の周りには、常に数匹の猫がたむろしていたと言われ、擬人化した戯画に愛情があふれる。見得(みえ)を切る歌舞伎役者の似顔絵や、さまざまな鞠(まり)の曲芸をする姿は、ユーモラスで表情豊かだ▼まさに「猫かわいがり」。京都文化博物館で開催中の「いつだって猫展」(6月11日まで)は、猫と人のつきあいの深さを思い起こさせる。もっとも当の猫はお構いなしで、昔も今も浮かれ気分の人間を、冷静に見つめているのかもしれない。

[京都新聞 2017年05月09日掲載]

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