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新聞で見分けるフェイク

 スイスの村では木に実ったスパゲティの収穫に大忙し-。英国の公共放送BBCがテレビで流すと問い合わせが殺到したそうだ▼60年前の白黒映像は今でもインターネットで見られる。といっても、お察しのように、BBCの毎年恒例のエイプリルフールのジョーク。冗談と事実をわきまえて、笑った時代だったのだろう▼ヒラリーが間もなく起訴される-。東欧マケドニアの若者たちが投稿した偽情報はまたたくまにネットに広がり、広告費を稼いだ。事実より面白さで転送されたフェイクニュースが米大統領選を左右したと言われる▼<新聞で見分けるフェイク知るファクト>。15日に始まった新聞週間の代表標語だ。書いた横浜市の田村美穂(よしお)さん(64)は「さまざまな情報があふれている今こそ、取材で裏付けられた事実に触れたい」と話している。責任重大だ▼ネタをつかんでも、デスクから「裏を取ってこい」と何度もどなられ、ようやく記事にしても関係者に迷惑をかけたこともある。事実の重みを痛いほど思い知らされた▼トランプ米大統領に限らず、為政者から事実かどうか怪しい発言が飛び出す昨今だ。新聞やテレビはファクトチェックに力を入れ、先のBBCは専従チームをつくった。こんな時にこそ「裏を取る」新聞の本領発揮といきたい。

[京都新聞 2017年10月18日掲載]

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