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バブルの陰影

 近頃よく「バブル」が引き合いに出される。景気拡大の期間はバブル景気を超え、好調な株相場はその崩壊後の最高値を更新する一方、人手不足もバブル期並みという▼京都市中心部では当時人気のディスコが復活。増える訪日客の「お宿バブル」で地価が急騰し、長く塩漬け状態だった土地でホテル計画が進む▼ただ、まるで空白だった時間が再び動きだしたような言いようには抵抗がある。バブル前後の落差と混乱を現場で見てきた世代はそうだろう▼ちょうど20年前の1997年11月、大手の山一証券や北海道拓殖銀行が相次ぎ倒れた。バブルのツケが一気に噴き出した金融危機の幕開けだった▼京都は直前に第二地銀・京都共栄銀行の破綻もあり、不安が連鎖して四条通に並ぶ金融各店は解約を求める人であふれた。いら立つ客と罵声を浴びる店員、あおりで不良債権とされて金策が尽きた老舗社長、突然のリストラ宣告を受けた社員たち…。それぞれの「これからどうなるんだろう」というおびえた顔が忘れられない▼「失われた20年」と嘆く一方で、何を学んできただろう。今回は一般の生活実感とかけ離れ、豊かさを共感できないバブルが再燃している。耐え難い痛みを刻んだあの熱病で何が失われ、いまなお失い続けているのか、見つめ直したい。

[京都新聞 2017年11月20日掲載]

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