凡語 京都新聞トップへ

情報

 戦国時代、織田信長は桶狭間の戦いで圧倒的に多数だった今川軍を打ち破った。小和田哲男静岡大名誉教授によると、信長が論功行賞で第一番に賞したのは、今川義元を討ち取った家臣ではなく、義元の居場所を伝えてきた武将だったという(「戦史ドキュメント 桶狭間の戦い」)▼それほど信長が情報の価値を高く考えていたということだろう。いつの時代も情報は勝敗を左右するほど重要だ▼幕末の動乱期もご多分に漏れない。先月、西本願寺(京都市下京区)所蔵の文書群の内容が明らかになった。病の床にあった14代将軍徳川家茂の病状を示す極秘のカルテ「容体書(ようだいがき)」まであった。診察の数日後には入手していたことに驚く▼ペリーによる黒船来航を、直後に江戸の築地本願寺から知らされていたという手紙もあった。西本願寺が、存続をかけて情報収集に奔走していた様子がみてとれる▼現代、情報の重要性は一層高まっているが、インターネットの発達で何が重要で、どれが重要でないのか判断しづらい状況でもある。フェイクニュース(偽ニュース)が意図的に流され、米大統領選に影響を与えた可能性すらささやかれる▼あふれる情報の中で、新聞が今後も信頼して選んでもらえるメディアであるにはどうすればいいか。改めて身が引き締まる。

[京都新聞 2017年12月03日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)