凡語 京都新聞トップへ

はしだのりひこさん死去

 人気テレビ番組「11PM」への出演が決まったが、いでたちがいまひとつ画面映えしない。後に音楽プロデューサーとして活躍する故加藤和彦さんが一計を案じた▼衣装に女物のブラウスを買い、ビートルズで有名になった髪型「マッシュルームカット」に加藤さんの母親が仕立てた。1967年、小柄な同志社大生はこうして人気者となった▼加藤さん、きたやまおさむさんとフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」を組んで「帰って来たヨッパライ」を歌ったはしだのりひこさんである。2日に72歳で亡くなった▼フォークルが解散した後も、きたやまさんの詞に曲を付けて「風」「花嫁」などの名作を世に送り出した。妻の病気から「主夫」として家事や育児をこなしたことでも知られた▼著書「お父さんゴハンまーだ」で生まれ育った京を<びっしりと重い過去を背負っている>と評した。自身の青春期は<旧体制とのシレツな戦いでぬりつぶされてきた>と書いた。京都という土地柄への愛憎が、反体制の象徴だったフォークソングへとはしださんを駆り立てた一面があったのは想像に難くない▼はしださんはただ一人旅に出た。夜汽車に乗って着いた天国は「よいとこ」なのだろうか。そんな様子をまた曲にして歌っているのかもしれない。

[京都新聞 2017年12月17日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)