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賀状書く

 「賀状書く」は、年の瀬の季語とされる。<世のつねに習ふ賀状を書き疲る>(富安風生)。気ぜわしくとも親しい友や世話になった人たちを思い浮かべ、日頃の無沙汰をわびつつ一筆したためる▼<賀状書く喪中幾葉かへし読み>(川畑火川)。年賀の欠礼を告げるはがきが例年になく多い。知人やご身内の訃報に人生の出会いと別れを実感させられる。何ともせつなく、つらい▼昨今は家族葬が増え、欠礼状で初めてご不幸を知ることもある。多くは年賀辞退の簡潔な文面だが、それぞれに人生模様があったに違いない。詳しい事情や最期の様子はうかがえぬが、遺族の寂しさが伝わってくる▼日本人の平均寿命は、男性80・98歳、女性87・14歳。年老いた父母ならば天寿と、それなりに納得もできよう。だが逆縁の働き盛りのご子息らとあれば心痛む。まだ若い。やり切れぬ▼死別の哀惜は容易に癒やされることはない。この一年を振り返り、最愛の家族を失った悲しみを新たにされているのだろうか▼ところで少子高齢化に伴いペットも大切な家族の一員となっている。愛犬や愛猫が旅立ったとの喪中はがきが増えていると聞く。ペット葬儀も珍しくなく、さもありなん。師走も残りわずか。賀状を元日に届けるには、そろそろ仕上げを急がねばなるまい。

[京都新聞 2017年12月20日掲載]

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