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パスワードとの付き合い

 <減る記憶それでも増えるパスワード>は、今年の「サラリーマン川柳」優秀100句の一つ。パソコンやスマホが欠かせない情報化社会で暮らすには、いや応なくパスワードと付き合わざるを得ない▼電子認証のための秘密の文字列、いわば合言葉だ。指紋や虹彩といった生体認証も導入されつつあるものの、自在に合言葉を使いこなせない▼脈絡のない数字や英文字の組み合わせが最善とはいえ、覚え切れない。ついつい同じパスワードをあちこち使い回しがちで、いったん秘密の文字列が解読されれば個人情報が芋づる式に盗まれる。危険この上ない▼加えて、パスワードは定期的に変更するのがセキュリティー対策の常識だった。「長期間変更されていません」との警告を受けた人も多いに違いない。ところが、総務省が先ごろ、「国民のための情報セキュリティサイト」にあった注意喚起を改め、従来の「常識」を覆した▼定期的な変更によって文字列はパターン化し、単純になる。使い回しが増え、推測されるリスクがより高まるというわけだ▼手間は省けるが、利便性と安全性は裏腹である。定期更新が不要ならその分、短過ぎず覚えやすく、推測されにくい安全なパスワードの工夫に知恵を絞りたい。それでも「減る記憶」ゆえに悩みは尽きない。

[京都新聞 2018年04月04日掲載]

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