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明治150年と御苑

 京都御苑(京都市上京区)の一角にある親王家の一つ、閑院宮(かんいんのみや)邸跡で、明治維新から現在に至る御苑の歩みを紹介する企画展が今月から始まった▼御所を囲んで皇族や貴族の屋敷がぎっしりと並び、「公家町」と呼ばれた広大な場所が、あるじを失うと一変して朽ち果てた。写真や絵図で示される再生への歩みは、京の街と人々の営みの移り変わりを象徴する▼明治維新150年を記念した事業が、今年は全国各地で繰り広げられている。当時の京の町衆たちにとっては「御一新はえらい災難や」というのが実感だったに違いない▼戦乱による大火で家々や商家、社寺が焼損し、都の機能が東京へ移ったために人口減少や伝統的な産業文化の沈滞を招いた。町衆は苦境を跳ね返すため、番組小の創設、西陣織への西洋技術の導入、理化学の研究や博覧会の開催、琵琶湖疏水の建設などあらゆる努力と工夫を重ねた末、今に至る活路を開いた▼荒廃した公家町も多様な生き物が生息する都心部の緑豊かなオアシスに生まれ変わった。新緑の使者、アオバズクがまもなく飛来して営巣や子育する姿が観察できるだろう▼天皇の退位と平成からの改元が1年後に近づいている。御苑の風に吹かれながら、たどってきた150年の歴史と迎える新たな時代に思いをはせたい。

[京都新聞 2018年04月23日掲載]

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