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群雄割拠

 将棋界が沸いている。八大タイトルを棋士8人で分け合う戦国時代の乱世に突入しているためだ。1人1タイトルは1987年以来。誰が抜け出すのか目が離せない混戦模様となっている▼タイトル保持者8人の半数はこの1年で初タイトルを得た20~30代の棋士だ。全保持者の平均年齢は2年前の40代前半から32・8歳へ若返った。最高齢は羽生善治竜王(47)だ▼昨年末の永世7冠達成後の会見で「研究熱心な強い若者が台頭し、自分の知らない作戦も出てきて苦慮している」と語った。群雄割拠の背景には人工知能(AI)の手法を取り入れた将棋ソフトの進化がある。AIで戦術研究を深め、新しい指し方も出ているそうだ▼多くの実力者が対立して覇を競うといえばかつての自民党がそうだった。だが、安倍晋三政権下の今は「1強多弱」。秋の党総裁選も派閥領袖(りょうしゅう)の一人が早々と不出馬を表明した▼七つだった将棋の各タイトルにそれぞれ保持者がいた87年は秋に総裁交代があった。この時も安倍氏の父の晋太郎氏や竹下登氏、宮沢喜一氏が総裁の座を目指し、激しく争った▼今回名乗りを上げる実力者はごく少数の見通しで多士済々がひしめく棋界と対照的だ。1強よりも群雄割拠の方が政策論争が活発になる。政界が沸く時代は来ないのだろうか。

[京都新聞 2018年08月04日掲載]

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