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さくらももこさん死去

 突然の訃報にショックを受けた方も多いだろう。国民的人気漫画「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんが53歳で亡くなった▼ショックと言えば「顔に縦線」である。まる子が落胆したり、びっくりしたりするときにおでこや目の下に出てくる縦線。昔からある漫画表現だが、さくらさんの描くまる子の表情はとくに印象的だった▼昭和50年頃の地方都市、3世代同居の家族の何でもない日常のやりとりが面白かった。だれにでもありそうな子ども時代の話。それが多くの人に愛されたのは目のつけどころが抜群に良かったからに違いない▼学校の場面ではクラスで目立つ子どもだけでなく、地味な子も欠かせないキャラクターだった。いろいろな友達に囲まれていた子どもの頃を思い出し、笑いながらちょっと切なくなった人もいたのではないか▼一方で詞を手掛けたテレビ主題歌「おどるポンポコリン」はバブル時代を象徴するような楽しさだった。死去は早すぎるが、平成最後の夏の巡り合わせのようでもある▼人前に出ることは少なかったさくらさんだが、1992年に京都でトークイベントがあった。漫画雑誌に入賞して好きなことをして生きていけると分かり「18歳からだったの。それが今でも持続してるんだよね」。まる子そのものだった。

[京都新聞 2018年08月29日掲載]

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