京都新聞TOP > 文化・文芸・教育アーカイブ > 華包(はなつつみ)
インデックス

(3)松包

京都華包研究 笹岡隆甫
写真 写真
松包の折形図
「松包」(遠州六世貞松斎米一馬筆「華包」より)


赤い実と合わせ主役の装い


 常緑の高木で雌雄同株。日本にはクロマツやアカマツ、ゴヨウマツなどがあり、長寿や節操の象徴として古来尊ばれる。より代として「(神を)待つ」や「(神を)祀(まつ)る」、「(緑を)保つ」が転じた―などが名称の由来とされる。




 わが家の正月準備は、根引きの松を門柱に打ちつけることから始まります。門松の一種ですが、松竹梅をとりあわせた豪華な門松とは異なり、根がついたままの素朴な松です。わが家では、長さ50センチほどの小松の中ほどに和紙を巻き、金銀の水引をかけて、門柱に釘(くぎ)で打ちつけます。「歳神(としがみ)」と呼ばれる豊作の守り神を家内に迎えるための準備です。続いて、座敷の床の間にも、若松の生花(せいか)をいけます。

 新年は、華包(はなつつみ)も松が主役です。赤い実をたくさんつける南天や千両を取り合わせると、一層凛(りん)とした風情に。南天は、困難を転じる「難転」に通じるとして厄除(やくよ)けを意味し、千両は、商売繁盛の千両箱に通じ特に商家で喜ばれます。

 基本の松包では、和紙に飾り水引を合わせますが、今回は組紐(くみひも)を用いてアレンジしたものも用意しました。和紙の色も松葉色に藤色を重ね、組紐の色合わせとリンクさせ、優しい風情を演出しました。


京都華包研究 笹岡隆甫 (ささおか・りゅうほ)

 1974年京都市生まれ。華道未生流笹岡家元。京都華包研究会同人。

写真 写真
初春をことほぐ「松包」。床の間に凛と…(京都市左京区・未生流笹岡家元)
花材=クロマツ、センリョウ、菊
長く伸ばした五色の組みひもが華やぎを醸し出し、玄関先を彩る
花材=ダイオウマツ、ナンテンの実

【2018年01月12日付京都新聞夕刊掲載】